概要
HRMOS労務給与の導入にあたり過去データを登録する必要があるか、ある場合にその要件を確認して移行作業を行う必要があります。移行作業が必要な要件を確認し、必要な場合の作業手順について説明します。
目的
この記事を読み終えることで、以下のことができるようになります。
- HRMOS労務給与における移行作業について理解する
- 移行作業が必要な場合の手順について理解する
前提条件
- HRMOS労務給与の全体像を把握していること
- 移行作業を行う場合
- 旧システムから次の形式の当年分の給与1ヶ月分毎・賞与支給毎のCSVデータを抽出していること(項目の順序、社員コードの順序は問いません)
- CSVデータ(UTF-8)にて準備されていること
- 年税額計算のもとになる「課税支給合計」「所得税」「社会保険料合計」「小規模共済掛金合計」の元になる金額が必ず含まれていること。勤怠データなど不要な項目が含まれていても構わない
- 旧システムから次の形式の当年分の給与1ヶ月分毎・賞与支給毎のCSVデータを抽出していること(項目の順序、社員コードの順序は問いません)
手順
移行作業の要否確認ならびに移行作業は以下のステップで進めます。
ステップ1. 移行作業が必要か確認する
概要
移行作業が必要な要件を理解し、移行作業が必要か確認します。
なお、HRMOS労務給与では移行作業と並行検証という作業で、その目的・作業の違いについてを次のとおり区別しています。
| 移行作業 | 並行検証 | |
|---|---|---|
| 目的 | 年税額計算のため | 旧システム計算結果との検証のため |
|
作業 概要 |
給与は1ヶ月分づつ、賞与は1回分づつ、その年1月支給日分からの数値による登録作業を行います。 過去の賃金台帳との一致を目指すものではなく年税額計算に必要な項目のみを登録します。勤怠等のデータは通常登録しません。 |
通常の給与計算 通常の賞与計算 |
| 登録 |
支給:「課税支給合計」 控除:「所得税」「社会保険料合計」「小規模共済掛金合計」 が旧システムと合うように登録します。 ※課税支給合計は支給項目のうち給与として所得税課税されるもの、所得税は源泉所得税(毎月の給与や各回の賞与で徴収されている所得税)にあたるもの、社会保険料合計は健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料等の会社が控除する社会保険料にあたるもの、小規模企業共済掛金合計は社会保険料合計のうち小規模企業共済等掛金に該当するものです。 |
通常の給与計算・賞与計算と同じで、勤怠、支給、控除、集計の各値が「HRMOS CORE」や「勤怠」データから期待する計算結果と合うか確認します。 |
結果
導入タイミングなどの事情により移行作業が必要か判断します。
ステップ2. 移行手順を確認し、移行作業前の手順を行う。
移行作業の順序は次のケースにより3つの手順にわかれます。<標準><移行作業先行型>では移行作業前に必要な1,2の手順(移行モード終了まで)を行います。
| ケース | 手順 |
|---|---|
|
<標準> 自社で導入 かつ HRMOS COREの社員情報のデータの登録を整えてから移行作業を開始する |
1.初期設定(初期設定4社会保険手続きに必要なマスタ情報を登録するまで)を全て行います。 2.移行モードを終了します。 ~本ページのステップ3以降を参照ください~ 3.移行作業を開始します。 4.移行作業後、並行検証を開始します。 |
|
<移行作業先行型> 自社で導入 かつ HRMOS COREの社員情報のデータの登録は最小限として移行作業を開始する |
1.初期設定のうちHRMOS労務給与の初期設定(初期設定2会社と社員の情報)の社員登録のうち、移行対象者すべての(一般的に1月以降支給対象者)社員コード・入社日・退職日・給与形態(月給・日給・時給)の登録を行います。 ・該当のセクションは業務情報>入社・退職、業務情報>雇用条件となります。 2.移行モードを終了します。 ~本ページのステップ3以降を参照ください~ 3.移行用給与計算グループ/移行用賞与パターンを作成します。 4.移行作業を開始します。 5.移行終了後、並行検証を行う前に残りの全ての初期設定(初期設定4社会保険手続きに必要なマスタ情報を登録するまで)を行います。なお、1で登録したセクションの情報が不足している場合、1で登録したものと同一の適用日・開始日で上書きします。 |
|
<移行モード利用型> 設定代行会社が導入の場合など 移行モードを利用して移行作業を開始する※ |
1.移行モードで移行作業します。 2.移行作業終了後に移行モードを終了します。 3.並行検証を行う前に初期設定(初期設定4社会保険手続きに必要なマスタ情報を登録するまで)を行います。 |
※移行モードでは初期設定をほぼ行わずデータを登録できますが、再計算不能であることや登録すべきデータ量の多さなどの登録の難しさのため、自社導入を含め作業に不慣れな方の利用を推奨しておらず、設定代行会社向けとしています。また、移行モードは一度終了すると画面に表示されず、再度のモード変更はできません。
ステップ3. 移行作業をどの給与計算グループ・賞与項目パターンで行うか確認し、必要あれば移行用の給与計算グループ・賞与項目パターンを作成する
- 移行作業はHRMOS労務給与の初期設定(初期設定3給与計算に必要な情報)した給与計算グループ・賞与項目パターンで行う もしくは<移行作業先行型>では別の移行用給与計算グループ、賞与項目パターンで設定することとなります。
- <移行作業先行型>では移行用のシンプルな設定での給与計算グループ作成による移行作業を推奨しています。
ステップ4. 移行作業を行う
操作の概要
移行作業を次の手順で行います。
具体的な操作
1.社員情報の給与計算グループの登録
- HRMOS給与の社員のメニューより給与計算グループを登録します。ステップ3で割り当てルールを登録した場合は、割り当てルールによる給与計算グループ登録でも構いません。
- 給与計算グループの給与形態はHRMOS COREに登録されている給与形態(月給・日給・時給)と合致している必要があります。
2.給与の移行作業
- 給与計算を1月支給給与から行います。
- 計算は給与計算グループ毎に通常の給与計算で行います。
- データはファイル(CSV)で取り込みします。
- 取り込み時には必要な項目だけをマッピングさせて取り込みを行ってください。
- 複数の給与計算グループがある場合は複数の給与計算グループで同様に取り込みを行います。
- 計算は給与計算グループ毎に通常の給与計算で行います。
- 補足:シンプルな給与計算グループで移行作業を行う場合は、給与計算グループの支給・控除項目の設定に従い、次の項目の取り込みを行ってください。
- 「課税支給計」「非課税支給計」※
- 「社会保険料計」もしくは「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」「雇用保険料」
- 必要な場合は「小規模企業共済掛金等計」(社会保険料計で登録する場合、その中に、小規模企業共済掛金等計は入れないでください)
- 「所得税」
- 差引支給額を合わせるために必要な場合:「その他控除計(社保・所得税以外)」もしくは「住民税」とそれ以外の「その他控除計(社保・住民・所得税以外)」
- 計算結果をエクスポートや支給控除一覧表で確認します。
- 課税合計額、所得税、社会保険料合計、小規模企業共済掛金合計は必ず一致させてください。
- 問題無ければ各給与計算グループで給与計算を締めます(確定します)。
- 移行したい月の給与計算まで上記を繰り返します。
3.賞与の移行作業
- 賞与計算を1月支給分以降で行います。
- 計算は賞与支給毎に通常の賞与計算で行います。
- 取り込み時には必要な項目だけをマッピングさせて取り込みを行ってください。
- 計算結果をエクスポートや支給控除一覧表で確認します。
- 課税合計額、所得税、社会保険料合計、小規模企業共済掛金合計は必ず一致させてください。
- 問題無ければ賞与計算を締めます(確定します)
- 移行したい賞与計算まで上記を繰り返します。
結果
年税額計算に必要項目の金額がHRMOS給与に登録されます。
賃金台帳などで個人等の年間累計額に間違いがないかご確認いただくとより安心です。
・補足:給与支払事務所や特別徴収義務者の設定、適用事業所の設定とそれらの個人への紐づけ(HRMOS COREでの登録)が終了しない場合はそれらに関する検証は開始できません。また、紐づけなしの給与・賞与データは年税額計算以外の月額変更届や算定基礎届、労働保険の年度更新の賃金算定など過去の加入状況も必要な作業や市区町村の情報が必要な住民税FBデータの出力は検証ができませんので、並行検証で検証を実施ください。
手順の補足・設定項目一覧
インポート可能・不可能項目
| インポート可能 |
・HRMOS給与でご自身で設定した勤怠項目、支給項目、控除項目(当初より設定済みのものも含む) ・社会保険料事業主負担>健康保険料事業主負担、介護保険料事業主負担、厚生年金保険料事業主負担、子ども・子育て拠出金、労災保険料、一般拠出金、雇用保険料事業主負担 ・社会保険計算情報>社保対象通勤費、雇保対象通勤費(離職票) ・年末調整還付・徴収額(※1) ・備考>お知らせ欄 (※2) |
| インポート不可 |
・支給合計>課税支給合計額、非課税支給合計額、支給合計額 ・控除合計>社会保険料合計、その他控除合計、控除額合計 ・集計>差引支給額、現金支給額、銀行振込額1~4 ・累計>課税支給額年間累計、社会保険料年間累計、所得税年間累計 ・社会保険計算情報>社保対象賃金(通貨)(現物)、労災対象賃金、雇保対象賃金 ・所得税計算情報(課税対象額)、定額減税額 ・単価(支給基礎単価(時間)など) ・所定(1日の所定労働時間など) ・個人情報(戸籍氏名、生年月日) ・社会保険基本情報(適用事業所、免除など) ・健康保険(加入区分など) ・厚生年金保険(加入区分など) ・労働保険(加入区分など) ・所得税情報(税区分、税扶養人数、給与支払事務所) |
※1 こちらのインポート方法により、別途還付・徴収金のCSVをご準備いただきインポートください。最新で計算中のデータにのみインポートすることができます
※2 インポート不可の項目で記録に残しておきたい場合にはお知らせ欄をご活用ください
移行作業でのポイント
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 複数給与計算グループでもインポートデータは1つで可能 | その給与計算グループの対象でない人のデータを含んだデータの場合、その給与計算グループにいない人の分はインポートされませんが、インポート作業は可能です(この場合、エラー表記され、その給与計算グループにいない人分はインポートされません旨が表記されます)。 |
| 複数ファイルをインポートする場合は勤怠→金額の順で行う | 給与計算グループで計算式設定している場合などはインポート時に勤怠設定で自動計算されるため勤怠→金額の順でインポートください。 |
| 誤って時間、金額が入力される場合は0や0:00をインポートする | HRMOS COREに社員情報の事前登録がある場合や計算式設定がある場合は給与計算が自動的になされるため、不要な項目は0や0:00を強制的にインポートしてください。 |
| 旧システムの項目とHRMOS給与の設定項目が異なる時は事前準備をしておく | 計算値を合計で入れるための集計値を準備する、新旧の項目読み替え表を作成する、検証しやすいように合計額を算出しておくなど事前の準備をしてください。 |
年税額計算に関わる項目以外に移行作業を行いたい時
| 年税額計算に関わる項目以外の旧システムからの移行 | 詳細 |
|---|---|
| 支給・控除が同じか漏れなくチェックしたいとき |
支給:課税支給合計、非課税支給合計、支給合計 控除:所得税、住民税、社会保険料合計、小規模共済掛金合計、その他控除額合計、控除額合計 差引支給額 が合うように設定することをおすすめします。※太字は年末調整のために必須 |
| 振込先・元の登録が複数あり、移行期間中もその記録を残したいとき |
事前に振込元・振込先の指定や定額口座への入金指定を行ってください。差引支給額を各振込先や現金支給に振り分けて登録することができません。 差引支給額、現金支給額、銀行振込額1~4が合うように設定ください。 |
| 住民税のデータを予め市区町村別で確認したいとき | 住民税の納税はFBデータなどで出力できますが、各月の給与計算前・計算中にその年度の支払先である市区町村と住民税額が各人に登録されている必要があります。 移行期間中に住民税の市区町村登録を行い出力確認ください。 |
| 月額変更届や算定基礎届、賞与支払届の社会保険料の報酬、労働保険料のの年度更新に使用する金額を合わせたい場合 | 社会保険料の報酬を合わせたいときは項目設定>支給>社会保険の計算対象として設定した項目の金額の合計額が合う必要があります。 労働保険料は項目設定>支給>労働保険の対象として設定した項目の金額の合計額が合う必要があります。 なお、届出に金額を使用する場合は、適用事業所の登録が行われており、給与・賞与計算時に各保険加入状況があった状態で計算されている必要があります。 |
| 社会保険料や労働保険の事業主負担の記録を残したい | 額面でのインポートが可能です。 |
補足・ヒント
過去データを遡って登録したい場合の対処方法
HRMOS給与は過去分から順に登録することを原則としています。そのため、過去データを登録したい場合は、現在使用している給与計算グループとは別に現在お使いの給与計算グループをコピーする等して過去用の給与計算グループを作成していただき、過去分を作成したい該当者を一時的にその給与計算グループに所属させるなどして、現在使用している給与計算グループと重複しない期間で移行作業を実施してください。
なお、過去年分のうち、定額減税など累計される金額を元にした所得税計算への対応がある場合、年途中からの移行作業はできません。