法改正内容
- 以下のURL(国税庁HP)に記載のとおり、通勤手当の非課税限度額について2025年(令和7年)4月1日以降の支給に遡って改正が行われることとなりました。また、正しく年調年税額が算出されているのであれば、源泉徴収簿に新たに非課税となった金額やその計算根拠の記載を省略しても差し支えないとされています。
国税庁HP https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/index.htm
通勤手当の非課税限度額の引上げに関するQ&A https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/pdf/03.pdf
- 改正部分は以下のピンクの箇所となります。
| 区分 | 課税されない金額 | 差額 | ||
| 改正後 | 改正前 | |||
| (令和7年4月1日以後適用) | ||||
| ②自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当 | 通勤距離が片道55km以上である場合 | 38,700円 | 31,600円 | 7,100円 |
| 通勤距離が片道45km以上55km未満である場合 | 32,300円 | 28,000円 | 4,300円 | |
| 通勤距離が片道35km以上45km未満である場合 | 25,900円 | 24,400円 | 1,500円 | |
| 通勤距離が片道25km以上35km未満である場合 | 19,700円 | 18,700円 | 1,000円 | |
| 通勤距離が片道15km以上25km未満である場合 | 13,500円 | 12,900円 | 600円 | |
| 通勤距離が片道10km以上15km未満である場合 | 7,300円 | 7,100円 | 200円 | |
| 通勤距離が片道2km以上10km未満である場合 | 4,200円 | 同左 | - | |
| 通勤距離が片道2km未満である場合 | (全額課税) | 同左 | - | |
- HRMOSでは2025年(令和7年)4月~12月支給分の対応に関して、直接遡及等の処理は行うことができません。下記参照いただき必要な場合は、2025年中の支払で処理を行っていただく必要があります。
処理方法
次のステップにより行います。
改正では非課税枠が広がっていますので、対象期間に対象の所得税の課税対象となる課税通勤手当(給与計算グループの設定によって名称は異なりますが、ここでは課税通勤手当と表記します)を支給していた場合、上記の差額を上限に、課税通勤手当から非課税通勤手当に振り替える処理が必要となります。
ステップ1.対象者の確認
改正部分の片道距離10km以上の場合に1か月あたりの支給額が改正前の金額を超える通勤手当の金額を支払っている場合に処理が必要です。まずは、改正に伴う処理が必要な対象者が発生するかを確認します。
下記の全てに該当する場合には、対象者がいる可能性がありますので、次のステップで念のため詳細をご確認ください。
- 交通用具での通勤手当支給を行う対象者がいる
- 概要に記載した片道距離に対し改正前を超える通勤手当の支給を行うことがある
- 2025年4月~12月支給において、所得税の課税対象となる課税通勤手当を支払った実績がある(下記ステップ2-1でも確認できます)
ステップ2.対象者の確認詳細
2025年4月~12月支給の毎月の通勤手当(課税通勤手当・非課税通勤手当)を支給控除一覧等で出力し、対象者・対象月がないか確認してください。
なお、1.通勤手当の金額のみでの判断,2.片道距離からの登録からの判断のいずれでも構いませんが、1.通勤手当の金額のみで判断での対応のほうが容易です。
1.通勤手当の金額のみでの判断
非課税通勤手当や課税通勤手当の金額を直接は編集しておらず自動的に算出される金額を毎月使用している場合には
「非課税通勤手当が改正前(7100,12900,18700,24400,28000,31600)のいずれかの金額で支払われており、かつ同月に課税通勤手当が0円を超える金額で支払われている」対象者・対象月がある場合に処理が必要となります。
対象者・対象月を末尾「作成するリストa」のような形式で作成します(片道の距離はなくても構いません)。
2.片道距離からの登録からの判断
1.通勤手当の金額のみでの判断が難しい場合には次により対象者・対象月を判断ください。
(1)通勤手当の支給に対して、HRMOS COREの下記登録を確認します。4月~12月支給給与において、片道距離の変更がないか確認します。
- HRMOS CORE>個人情報>通勤手当情報>通勤手段が交通機関以外(交通用具など)の場合
- HRMOS CORE>個人情報>通勤手当情報>通勤手当(交通用具)>片道の距離(km)
(2)片道距離の変更がある場合は、HRMOS企業管理>給与>給与計算グループの基本設定を確認し、片道距離の変更があった場合は、次の手順でその片道距離がいつ時点の情報かを確認します。
- 交通用具に対する通勤手当を1か月単位で定額支給している場合:通勤手当(定額での支給)で基準日・取得月を確認します。支給月に対し、いつ時点の通勤手当の情報を引用しているかを確認していただきます。詳細は給与計算の準備:通勤手当の支給項目設定方法をご確認ください。
- 例)給与締め日=支給月の前月月末、支給日25日の場合 基準日=給与締日、取得月=当月の場合
4月支給で使用する通勤手当→4月(当月)の給与締日(3月31日)時点の通勤手当の情報を参照しています。
- 例)給与締め日=支給月の前月月末、支給日25日の場合 基準日=給与締日、取得月=当月の場合
- 交通用具に対する通勤手当を出勤日数等と連動して支給している場合:勤怠締め日を参照しています。
- 例)勤怠締め日=支給月の前月月末、支給日25日の場合
4月支給で使用する通勤手当→3月31日時点の通勤手当の情報を参照しています。
- 例)勤怠締め日=支給月の前月月末、支給日25日の場合
(3)(1)もしくは(2)をもとにHRMOS COREのデータセットにより、2025年4月~12月支給における各月の通勤手当の基準日を特定基準日としてセットし、下記を出力します。
- HRMOS CORE>個人情報>通勤手当情報>通勤手段
- HRMOS CORE>個人情報>通勤手当情報>通勤手当(交通用具)>片道の距離(km)
(4)次の2つのデータを突合し「作成するリストa」のような形式で作成します。リスト化する対象者がいない場合は改正に伴う処理は不要です。
- 2025年4月~12月支給の毎月の通勤手当(課税通勤手当・非課税通勤手当)を支給控除一覧等で出力し、非課税通勤手当を超えて課税通勤手当も支給されている対象者・対象月を抽出します。
- (3)より通勤手段=交通機関以外(交通用具など)を選択している、かつ、片道の距離(km)=10km以上である対象者・対象月を抽出します。
ステップ3.対象者がいる場合の処理
- 作成するリストaの対象者は次のように差額を上限に、課税→非課税に振り替える処理を行うことになります。要は片道の距離に応じた差額を上限として課税通勤手当を減らして、減らした額と同額の非課税通勤手当を増やす処理になります。
1.作成するリストaに法改正内容の差額を加えます。
2.差額に対し、対象者・対象月の「課税→非課税に振り替える金額」を算定します。1の差額と支払済み(改正前)>課税通勤手当を比べて小さい方が「課税→非課税に振り替える金額」となります。
例)次のような振り替えを行うことになります。
← 作成するリストa →
| 対象者 | 対 象 月 | 片道の距離(km) | 支払済み(改正前) |
参考: 通勤手当 (合計)支給額 |
差額 |
課税→非課税 に振り替える 金額 |
参考:本来(改正後) | ||
| 非課税通勤手当 | 課税通勤手当 | 非課税通勤手当 | 課税通勤手当 | ||||||
| A | 4 | 10 | 7100 | 0 | 7100円 | 200 | ー | 7100 | 0 |
| A | 8 | 10 | 7100 | 100 | 7200円 | 200 | 100 | 7200 | 0 |
| A | 11 | 10 | 7100 | 200 | 7300円 | 200 | 200 | 7300 | 0 |
| A | 12 | 10 | 7100 | 300 | 7400円 | 200 | 200 | 7300 | 100 |
| B | 4 | 50 | 28000 | 7000 | 35000円 | 4300 | 4300 | 32300 | 2700 |
| B | 5 | 40 | 24400 | 600 | 25000円 | 1500 | 600 | 25000 | 0 |
3.2で算出した4月~12月の支給月について「課税→非課税に振り替える金額」を対象者毎に集計し、「課税→非課税に振り替える金額合計」としてリスト化します。
例)上記の表は下記のように合計されます。実際には非課税通勤手当、課税通勤手当についての下記金額調整を行うことになります。
| 課税→非課税に振り替える金額合計 | 非課税通勤手当の調整 | 課税通勤手当の調整 | |
| A | 500 | +500 | ー500 |
| B | 4900 | +4900 | ー4900 |
4.振り替えるための項目として非課税通勤手当税調整、課税通勤手当税調整という次のような支給項目(仮称となります。わかりやすい名称をつけてください)を給与計算グループの改訂もしくは新たな賞与項目パターンで作成します。
なお、既に退職している方に対して対応が必要な場合は、賞与を作成することでご対応ください。
- 非課税通勤手当税調整:次のような設定とします。
- 明細表示は「常に表示」もしくは「0の場合は非表示」としてください。
- それ以外の設定は下記ご参照ください。
- 課税通勤手当税調整:次のような設定とします。なお、賞与で設定いただく場合は計算式の設定ができないため、マイナスの非課税通勤手当税調整と同額を登録いただく形、あるいは計算種別=マイナス計算にした上でプラスの非課税通勤手当税調整と同額を登録いただく形のいずれかとなります。
- 計算式を「非課税通勤手当税調整*(0-1)」を設定いただくことにより、課税通勤手当税調整のみの金額登録で設定できます。
- 課税通勤手当税調整をマイナスで表示したくない場合は、計算式を「非課税通勤手当税調整」、計算種別=マイナス計算としていただくことでも対応可能です。
- 明細表示は「常に表示」もしくは「0の場合は非表示」としてください。
- それ以外の設定は下記ご参照ください。
5.2025年中に支給する給与もしくは賞与で「非課税通勤手当税調整」に2の「課税→非課税に振り替える金額合計」の金額を登録します(登録にあたっては通常の給与計算、賞与計算と同様でインポートでの登録も可能です)。これにより必要な金額の振替が行われます。
なお、年末調整の還付徴収金の精算を行う際に自動選択されるのは最新支給日の給与もしくは賞与となります。本処理に伴い賞与を作成する場合、例えば2025/11/20などの支給日など年末調整の影響を受けない日付で作成※する、また賞与項目パターン名を処理がわかるように「非課税となる通勤手当処理」のようにわかりやすく実施することを推奨します。
(※上記に述べたような処理では通常発生しませんが、2025年の年末調整では12月の給与・賞与の有無が判定に用いられますので本処理において課税支給額1円以上を支払う処理が発生する場合はご注意ください。また、年内の年末調整では最後の支給日を還付・徴収先として行う形となりますので、最終支給日とならない給与・賞与で処理をしてください。)
補足・ヒント
社員に処理を明示的に知らせたくないとき
本処理を特段対象者に知らせずに実施する場合は、4,5の処理について賞与で「非課税通勤手当税調整」、「課税通勤手当税調整」のみの項目を作成した賞与パターンにて実施します(ほかの賞与とは別に実施します。賞与自体の金額は0円で「非課税通勤手当税調整」、「課税通勤手当税調整」にのみ金額が入るイメージ)。
賃金台帳上の記録は残りますが、当該賞与明細を本人に伝えないことで実施が可能です。
退職者に対しての対応
退職者に対しては退職後に給与を作成することができませんので、賞与を作成してご対応ください。対応方法は上述と同じです。
既に交付している源泉徴収票がある場合は、摘要に再交付を記載するなどし交付いただくとよいでしょう(本ページ最初のQ&A問16をご参考ください。詳細は国税庁等にお尋ねください)。
処理月の内訳を残したいとき
ステップ3で算出した課税→非課税に振り替える金額を 非課税通勤手当税調整(4月分)、課税通勤手当税調整(4月分)、非課税通勤手当税調整(5月分)、課税通勤手当税調整(5月分)・・・のように明細表示=常に非表示を活用して記録し、明細表示=常に表示もしくは0の場合は非表示とした
非課税通勤手当税調整=非課税通勤手当税調整(4月分)+・・・非課税通勤手当税調整(12月分)
課税通勤手当税調整=課税通勤手当税調整(4月分)+・・・課税通勤手当税調整(12月分)
で作成いただくことで毎月の金額に関しても記録を残すことは可能です。
非課税限度額まで支払う賃金規定にしている場合
算出した差額を非課税通勤手当税調整として支払う処理となります。