概要
給与計算期間の初日以外に給与額(固定給や単価)が変更する場合は新旧日割計算や新旧単価での計算など通常と異なった計算が必要となります。
実際にはいろいろな方法がありますので、こちらの方法には限りませんが、次のようなステップでの対応例をご紹介します。
月給制の場合の対応例
例として、月給制の場合で、給与計算が末日締め、翌月25日払いの会社で10/11に基本給20万円→30万円となった場合、11月25日には20・30万の按分額、12月25日には30万円で支払うケースで説明します。ここでの例はわかりやすさのため、基本給以外に固定的な手当は支給されない、基本給は新旧の期間で按分額が支給されるものとします(HRMOSでは按分額は自動計算できません)。
ステップ1.HRMOS COREで次の契約更新に関連する設定を行う
操作の概要
契約更新に対して、契約更新事務と給与支給両面から支障がないようにHRMOS COREのデータを整えます。なお、本設定は給与額の改定決定後、改定月の給与計算前に行います。
具体的な操作
1.HRMOS COREの業務情報に「契約更新日」というフィールド(カスタム項目)を作成します。「契約更新日」の作成箇所は実際にはどこでも構いませんが、労働条件通知書や雇用契約書に関する情報を管理しやすい場所が良いでしょう。
補足:文書作成機能で労働条件通知書や給与改定通知書を発行する場合、本来の契約変更日の登録のために推奨するステップです。
例)HRMOS COREの業務情報>契約情報>契約更新日というフィールドを日付フィールドで作成します。
2.1の契約更新日に履歴を登録します。
例)適用日と契約更新日=10月11日として履歴を登録します。
3.HRMOS COREの業務情報>雇用条件において改定がある翌月の給与計算期間を開始日として、給与額の改定の履歴を作成します。
例)新たな履歴を作成し、業務情報>雇用条件の開始日2025年11月1日として基本給=30万円として登録します。
補足:HRMOS給与における給与計算では固定的賃金が給与計算期間末日の金額で算定されてしまうことから、ここでは当月の給与計算期間内の日付を開始日(例では10月11日)として履歴を作成すると、月額変更届作成時に当月(例では11月支給)に固定的賃金変動があったとみなされることを鑑み、その翌月(例では12月支給)からの固定的賃金の変動と判断されることを勘案した登録を紹介しています。
開始日を10月11日にして登録する方法を採用した場合には、固定的賃金の反映が11月支給からとなり、11月支給時に固定的賃金の修正(補足・ヒント>固定給(支給・控除)や固定的な通勤手当が計算期間途中で変更した場合)が必要となりますのでご注意ください。
結果
HRMOS COREで契約更新事務と給与支給両面から支障ない登録が行われます。
補足:契約更新日を別に設けることでHRMOS文書作成で労働条件通知書や給与改定通知書等を作成する場合に利用でき、また、カスタム通知機能で契約更新日のリマインドが可能となります。
ステップ2.勤怠データを新給与期間と旧給与期間に分離する
1.勤怠の情報のうち、給与計算額に影響する日数、時間を給与額の変更前の期間、変更後の期間に分離して集計します。
2.分離した集計結果は旧と新の期間分がわかるようにCSVデータにまとめます。
補足:HRMOS勤怠をお使いの場合は、
例)法定外残業時間 → 法定外残業時間(10/1~10/10)+法定外残業時間(新)(10/11~10/31)のように分離し、それぞれを集計します。指定期間出力の機能などをご活用ください。
ステップ3.給与計算期間中の新旧給与支給ができる給与計算グループ設定を行う
操作の概要
HRMOS企業管理>給与>給与計算グループで新旧の固定給に応じた給与計算ができるよう給与計算グループを設定します。なお、(A)作成後の給与計算グループに変更を加える(改訂)方法と、(B)通常使用している給与計算グループをコピーしその給与計算グループで設定する方法<こちら>で、一時的に計算させる方法が考えられます。
補足:後者の方法は普段使用する項目が少なくなりお勧めの一方で、前月の給与を単価として使用するケースでは給与計算グループ変更時に前月の単価が参照できないため用いることはできません。
具体的な操作
1.給与計算グループ>項目設定で旧給与で残業代等を計算するために単価などで使用している固定的な給与が入力される項目を「明細表示=常に非表示(支給額には含まない)」として設定します。
例)基本給を明細表示=常に非表示(支給額には含まない)として設定します。
補足:本設定により、旧基本給をもとにした単価、支給計算ができます。
2.新給与で残業代や欠勤控除、遅刻早退控除などを計算するために項目設定で次の追加設定を行います。
・支給項目として新基本給を新たに作成し、社員一覧で設定します。なお、新基本給も「明細表示=常に非表示(支給額には含まない)」として設定します。
例)新基本給を種別=社員一覧で設定、明細表示=常に非表示(支給額には含まない)で設定します。
補足:新基本給の設定は一時的なものですので、社員一覧でなく、変動項目として設定いただき、給与計算時に額面をインポートいただくような形でも構いません。
・勤怠項目として、ステップ2で分割した変更前の期間を集計する日数・時間の項目をそれぞれ作成します。なお、明細表示や管理・計算上で必要あれば変更前後の合計の勤怠項目を作成します。なお、(A)では「明細表示=0の場合は非表示」の登録が推奨されます。
例)法定外残業時間(新)を作成します。
・単価を残業代等を計算するため上記の勤怠項目を使用するなどして新単価として設定します。会社のルールによります。
例)旧支給基礎単価を作成し、参照給与=当月 計算式=新基本給÷平均所定労働時間(給与計算期間)で設定します。
・支給項目として残業代や欠勤控除、遅刻早退控除などを新単価で行えるように設定します。
例)法定外残業手当(新)=新支給基礎単価×1.25×法定外残業時間(新)
補足:本設定により、新基本給をもとにした単価、支給計算ができるようになります。
3.固定給部分を按分して支給するために支給項目を追加します。種別は計算式とし、今回、改定の対象となる固定給の項目を加算して設定します。所得税の計算対象=対象、社会保険の計算対象=対象かつ固定的賃金=対象、労働保険の計算=対象として通常は設定し、(A)では「明細表示=0の場合は非表示」の登録が推奨されます。
例)基本給(合計)という支給項目を作成し、計算式=基本給 として作成します。
補足:新旧基本給の按分した額を支給するための項目が作成されます。
4.HRMOS勤怠を使用している場合に、給与計算グループ>HRMOS勤怠連携設定を行っている場合、ステップ2で期間分離した項目はAPI連携を解除します。
5.給与計算グループの明細定義を出力し、HRMOS勤怠(給与明細)に登録します。
6.社員一覧で設定する支給項目(新項目)の金額を登録します。
例)新基本給=300000 で登録します。
結果
新旧ルールで単価、支給計算できる項目と、新旧の固定給の合算額を支給する項目が作成され、給与計算グループの準備が整います。
ステップ4.(必要な場合)給与計算グループを一時的に変更する
(B)給与計算グループをコピーして新たに作成した場合は対象者を一時的に作成した給与計算グループに変更します。
ステップ5.変更月の給与計算を開始する
操作の概要
通常通りの給与計算を進めます。但し、新旧の給与を加味したCSVデータをインポートして行います。
具体的な操作
1.旧給与、新給与でそれぞれ残業代や欠勤控除、遅刻早退控除など計算結果が算出されるよう、勤怠データ等をインポートします。なお、HRMOS勤怠をお使いの場合に、新旧の給与計算に関わらない項目で新旧合算値の取り扱いでよい項目のうち、API連携していた項目は従前どおりAPI連携します。
例)旧基本給での残業代や欠勤控除、遅刻早退控除などを行うためには、通常使用していた法定外残業時間のような勤怠項目に集計データをインポートします。新基本給での残業代や欠勤控除、遅刻早退控除などを行うためには、新たに作成した法定外残業時間(新)のような勤怠項目に集計データをインポートします。
2.固定給部分を按分して支給するために作成した支給項目には按分した金額をインポートし、当初の金額を上書きします。
例)基本給(合計)には計算開始時に当初20万円が設定されます。20万円×10日/31日+30万円×21日/31日 のように計算したCSVデータをインポートします。
3.その他手順は通常の給与計算と同じです。
結果
給与計算の計算結果が確定し、終了します。
ステップ6.旧給与を削除する もしくは(変更していた場合)給与計算グループを戻す
- (A)新給与をHRMOS給与>社員>社員一覧で設定していた場合は使用しなくなるため、0円で上書き登録します。
例)新基本給=0 で上書きします。
- (B)一時的に新たな給与計算グループに変更していた場合は従前の給与計算グループに戻します。
なお、以後の給与計算では、通常の給与計算の設定が新給与で使用されることになるため、特段の設定は必要ありません。
時給制、日給制の場合の対応例
例として、時給制の場合で、給与計算が末日締め、翌月25日払いの会社で10/11に基本給1300円→1500円となった場合で説明します。ここでの例はわかりやすさのため、11月25日には1300円/時間と1500円/時間が混在して、12月25日には1500円/時間で支払うケースで説明します。また基本給と基本給に基づく割増賃金が支給されるものとします。
基本となるステップは月給制の場合と変わりません。但し、次のような違いがあります。
ステップ1.HRMOS COREで次の契約更新に関連する設定を行う
月給制の場合と同じです。但し、以下のような登録となります。
例)新たな履歴を作成し、業務情報>雇用条件の開始日2025年11月1日として基本給=1500円として登録します。
補足:例では開始日を10月11日にして登録する方法もありますが、この場合、固定的賃金の反映が11月支給からとなり、11月支給時に固定的賃金の修正(補足・ヒント>固定給(支給・控除)や固定的な通勤手当が計算期間途中で変更した場合)が必要となります。開始日を10月11日で登録した場合は固定的賃金の変動タイミングにお気を付けください。
ステップ2.勤怠データを新給与期間と旧給与期間に分離する
月給制の場合と同じです。
ステップ3.給与計算期間中の新旧給与支給ができる給与計算グループ設定を行う
操作の概要
HRMOS企業管理>給与>給与計算グループで新旧の固定給に応じた給与計算ができるよう給与計算グループを設定します。なお、(A)作成後の給与計算グループに変更を加える(改訂)方法と、(B)通常使用している給与計算グループをコピーしその給与計算グループで設定する方法<こちら>で、一時的に計算させる方法が考えられます。
具体的な操作
1.既存の設定は旧給与での計算をさせるために使用します。
2.新給与で残業代や遅刻早退控除などを計算するために項目設定で次の追加設定を行います(時給の場合は一般的に残業代のみの設定)。
・単価項目として新基本給単価を新たに作成し、社員一覧で設定、(社保)固定的賃金=対象外とします。
補足:新基本給単価の設定は一時的なものですので、単価での社員一覧の設定でなく、支給項目で変動項目、明細表示=常に非表示として設定いただき、給与計算時に額面をインポートいただくような形でも構いません。
・勤怠項目として、ステップ2で分割した変更前の期間を集計する日数・時間の項目をそれぞれ作成します。なお、明細表示や管理・計算上で必要あれば変更前後の合計の勤怠項目を作成します。なお、(A)では「明細表示=0の場合は非表示」の登録が推奨されます。
例)労働時間(新)や法定外残業時間(新)を作成します。
・支給項目として、新基本給を作成し、単価×労働時間のような計算式として設定します。
例)新基本給=新基本給単価×労働時間(新)
法定外残業手当(新)=新基本給単価×1.25×法定外残業時間(旧) のように設定します。
補足:本設定により、新基本給をもとにした支給計算ができるようになります。
3.HRMOS勤怠を使用している場合に、給与計算グループ>HRMOS勤怠連携設定を行っている場合、ステップ2で期間分離した項目はAPI連携を解除します。
4.給与計算グループの明細定義を出力し、HRMOS勤怠(給与明細)に登録します。
5.社員一覧で設定する単価項目(旧項目)の金額を登録します。
例)新基本給単価=1500 で登録します。
結果
新旧ルールで単価、支給計算できる項目と、新旧の固定給の合算額を支給する項目が作成され、給与計算グループの準備が整います。
ステップ4.(必要な場合)給与計算グループを一時的に変更する
月給制の場合と同じです。
ステップ5.変更月の給与計算を開始する
操作の概要
通常通りの給与計算を進めます。但し、新旧の給与を加味したCSVデータをインポートして行います。
具体的な操作
1.旧給与、新給与でそれぞれ残業代や遅刻早退控除など計算結果が算出されるよう、勤怠データ等をインポートします。なお、HRMOS勤怠をお使いの場合に、新旧の給与計算に関わらない項目で新旧合算値の取り扱いでよい項目のうち、API連携していた項目は従前どおりAPI連携します。
例)旧基本給での残業代や遅刻早退控除などを行うためには、通常使用していた法定外残業時間のような勤怠項目に集計データをインポートします。新基本給での残業代や欠勤控除、遅刻早退控除などを行うためには、新たに作成した法定外残業時間(新)のような勤怠項目に集計データをインポートします。
2.その他手順は通常の給与計算と同じです。
結果
給与計算の計算結果が確定し、終了します。
ステップ6.旧給与を削除する もしくは(変更していた場合)給与計算グループを戻す
- (A)新給与をHRMOS給与>社員>社員一覧で設定していた場合は使用しなくなるため、0円で上書き登録します。
例)新基本給単価=0 で上書きします。
- (B)一時的に新たな給与計算グループに変更していた場合は従前の給与計算グループに戻します。
なお、以後の給与計算では、通常の給与計算の設定が新給与で使用されることになるため、特段の設定は必要ありません。
補足・ヒント
給与が通勤手当などの本人申請(HRMOS COREのワークフロー)で決定する場合の対応
例えば、給与計算期間途中の新通勤手当の申請がなされた場合、固定的な賃金の変動を考慮すると、変更月ではなく、変更月の翌月の給与計算開始時に新しい通勤手当に変更される承認をしていただくとそれまでは旧通勤手当で固定的賃金が把握され、固定的賃金を編集する必要がなくなります(補足・ヒント>固定給(支給・控除)や固定的な通勤手当が計算期間途中で変更した場合)。なお、変更月の給与計算で手入力やCSVインポートで按分や精算の対応をいただく必要があります。
他の方法
HRMOS以外のシステム、EXCELなど外部で給与額を計算し、その額を登録する方法もあります。この場合は、給与計算時に金額をCSVインポートいただくなどして上書きください。